2024年11月17日日曜日

第23回:常識を取り戻した米国民の勝利

 米国大統領選挙におけるトランプ次期大統領の圧勝は、米国と世界にとってどのような意味があるのでしょうか。まず、今回の大統領選挙でのトランプ候補の勝利は、常識の勝利であり、良識の勝利でもあったということを知っていただきたいと思います。トランプ次期大統領は選挙演説において「常識を取り戻す」という言葉をスローガンとして掲げていました。それは、米国民が常識を取り戻すことができ、良識に従って投票するならば、必ず勝利することができると信じていたからです。

 トランプ次期大統領は2020年の選挙に敗北し、翌年の1月20日にホワイトハウスを追われました。その日から、今年の大統領選挙までのおよそ1400日間、トランプ次期大統領は全米各地で政治集会を開いてきました。その回数は930回に及び、3日に2回のペースで政治集会を行っていたという計算になります。そして、この政治集会を支えたのは、多くの愛国者たちでした。祖国を愛する者たちの4年間にもわたる不断の努力がトランプ次期大統領の圧勝という栄光の道を切り開くことにつながったのです。

 トランプ次期大統領は930回にも及ぶ政治集会で、聴衆に何を訴えたのでしょうか。それは、常識に立ち返るということでした。ここでの常識とは、換言すれば、当たり前であることを意味していました。トランプ次期大統領は非常に当たり前と思えることを政策の指針として掲げ、当たり前のことが非難され、常識が通用しなくなっている病める国家を癒すために、全米各地を巡り歩いたのです。

 では、トランプ次期大統領が唱える当たり前の政策とは、どのようなものでしょうか。まず、国境を守ると訴えました。大統領として国境線を守るのは当たり前のことです。また、違法な入国者は許さない、そして、不法移民については元の国に帰ってもらうと訴えました。違法に入国した者たちを元の国に送り帰すことは当たり前のことだからです。女性スポーツには男性は参加できないようにするとも訴えました。身体的能力に歴然とした差がある男女が別々に競技することは当たり前のことだからです。

 女性トイレや女性更衣室に男性は入ってはいけないし、未成年の男女に性転換手術を勧めてはならない。移民犯罪の蔓延を阻止し、若者に薬物被害をもたらす外国の麻薬カルテルを壊滅させる。少年少女の人身売買を厳しく取り締まり、大人の身勝手な性加害から子供たちを断固として守る。批判的人種理論や過激なジェンダーイデオロギーなどを子供たちに押し付けるような教育は中止させる。そして、このような教育を行う学校への連邦予算は削減する。選挙において投票者は有権者身分証明書を提示することを義務とし、不正選挙が行われないようにする。このような当たり前のことをトランプ次期大統領は訴え続けてきたのです。

 しかし、このような当たり前の政策を訴えていたトランプ次期大統領について、民主党支持者や大手の主要メディアはどのような評価をしてきたのでしょうか。彼らはトランプ次期大統領が掲げた当たり前の政策を非難することは避けてきました。なぜなら、当たり前のことを非難するならば、非難する側の方が非常識だと思われてしまうからです。反トランプ陣営の共通点があります。それは、政策においてトランプ次期大統領を正面から批判することがほとんどないということです。彼らは何かにつけて感情論で批評し、トランプ次期大統領の人格や素行にばかり焦点を当ててきたのです。それは、トランプ次期大統領が当たり前の政策を掲げて、何よりも常識を取り戻すことを訴えてきたからです。

 日本のマスメディアもほとんどが米国メディアに追従してきました。トランプ次期大統領がどんな政策を訴えているかではなく、一方的な誹謗中傷の記事を掲載してきました。そして、無批判に民主党候補のハリス副大統領を称賛する偏向記事ばかりを掲載し、偏向報道に徹してきたのです。その証拠にトランプ次期大統領の勝利について日本の新聞各紙がどんな社説を掲載していたのかを紹介しておきます。

 まず、主要各紙は一様に、トランプ次期大統領が「内向き」の政治に終始することを警戒し、米国の分断は一層浮き彫りになるとの懸念を表明しました。さらに、日本のメディアの中でも反トランプ色の強い朝日新聞は、トランプ次期大統領が「格差や移民をめぐる憎悪をあおり、政敵を排除する訴えを続けた」とし、「米政治の劣化は著しい」と批判しました。また、東京新聞はトランプ次期大統領のことを「ファシストの定義に当てはまる」と批判した元側近の言葉を紹介しながら、「民主主義国家をけん引すべき超大国の分断と暴力、『米国第一主義』への回帰を深く憂慮する」と断じたのです。

 常識を取り戻すための選挙運動に一意専心し、全米各地で「常識に立ち返ろう」と呼びかけたのがトランプ次期大統領でした。全く当たり前のことを諸政策の指針とし掲げ、米国民の常識と良識を覚醒させようとしていたトランプ次期大統領が、なぜファシスト呼ばわりされなければならないのでしょうか。トランプ次期大統領が掲げた当たり前の諸政策のどこがファシスト的なのでしょうか。むしろ、憎悪をあおり、政敵を排除し、分断と暴力を助長させてきたのは、民主党政権であり、民主党支持者であり、リベラル思想に凝り固まったマスメディアではないのでしょうか。

 大統領選挙の期間中に、対立候補であったハリス副大統領は「トランプ氏は国民を分断し、互いを恐れ合うようにした」と何度も非難していました。そして、日本のマスメディアも分断の原因はトランプ次期大統領にあると断定的に論じていました。

 安倍晋三元首相はかつて米国社会の分断について、「トランプ氏が分断を生んだのではなく、米国社会の分断がトランプ大統領を生んだ。そして、その分断を作ったのは、リベラル派であり、オバマ政権の8年間だった」と語られました。安倍元首相は実に深い洞察力と観察眼をもって、米国の分断の原因がどこにあるのかということを見切っていたのです。

 私たちは根本的なところで大きな間違いを犯しているのではないでしょうか。大いなる思い違いと勘違いをしているのではないでしょうか。もし、そうであるならば、今からでも私たちは「常識」を取り戻さなければなりません。当たり前のことを正しく評価することができるように、そして、当たり前であることを何かにつけて非難するメディアの報道に唆(そそのか)されることがないように注意しなければならないのです。私たちが常識に立ち返ることができた時、良心の声に耳を傾けることができた時、私たちは初めてトランプ次期大統領の本当の姿を見ることができ、その人格の素晴らしさを知ることができるようになるのではないでしょうか。「常識を取り戻そう」、「常識に立ち返ろう」というスローガンは、米国民に対してだけではなく、全世界の人々に向けられた天の声だったのかもしれません。

 「さあ、わたしたちは主に帰ろう。
 主はわたしたちをかき裂かれたが、またいやし、
 わたしたちを打たれたが、
 また包んでくださるからだ。
 主は、ふつかの後、わたしたちを生かし、
 三日目にわたしたちを立たせられる。
 わたしたちはみ前で生きる。
 わたしたちは主を知ろう、
 せつに主を知ることを求めよう。
 主はあしたの光のように必ず現れいで、
 冬の雨のように、わたしたちに臨み、
 春の雨のように地を潤される」。 (ホセア書 6章 1-3節)