2024年11月10日日曜日

第22回:「私は休まない」

 11月5日、米国大統領選挙の投開票が行われ、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が民主党候補のカマラ・ハリス副大統領に圧勝し、第47代大統領に就任することになりました。二度の暗殺未遂事件を乗り越えて、再び大統領に返り咲くという歴史的な復活劇を成し遂げたのです。

 トランプ次期大統領は6日未明、フロリダ州ウエストパームビーチでの演説で、「第47代大統領に選ばれたことは栄誉だ」と勝利宣言し、さらに次のように語りました。
 「今夜、我々は歴史をつくった。誰もが不可能と思っていた障害を克服した。・・・強く、安全で、繁栄した米国にするまで、私は休まない。米国は新たな黄金時代を迎える。」

 トランプ次期大統領の勝利は、米国を地獄の苦しみから、そして、世界を戦争とその惨禍(さんか)から救い出すための第一歩となったのではないでしょうか。不可能とも思える状況を乗り越え、数多の言われなき非難と迫害を克服しての圧勝は、まさに「奇跡」とも言えるものでした。そして、この「奇跡」は明らかに神が起こした奇跡だったのです。

 また、今回の大統領選挙での勝利は、誰もが不可能と思えることでも、神にはできないことはないということを信じた米国民の勝利でもありました。米国民は神が起こされる奇跡を信じ、米国が神によって祝福され、守られていることを信じていたのです。米国の建国精神が再び光を取り戻し、米国が「丘の上の輝く町」となることを熱望し、神への信仰によって建国された祖国の復活を祈り求めたのです。そして、米国民が切望した奇跡によりトランプ次期大統領は圧勝することができました。祖国の復活を希求する祈りはトランプ次期大統領の歴史的な復活劇となって、世界中に知れ渡ることになったのです。

 ところで、奇跡的な圧勝と歴史的な復活劇の要因とは何だったのでしょうか。そこには、日本のメディアはもちろんですが、米国のメディアでも報じられることのないある一つの隠された真実があったのです。それは「常識(common sense)を取り戻す」ということです。これは今回の大統領選挙において繰り返し語られた選挙演説での一つのフレーズなのですが、この言葉には米国の建国歴史において忘れることのできない深い意味が込められていたのです。「Common Sense(常識)」とは、単なる常識という意味ではなく、米国独立戦争の聖典とも言われるトマス・ペインの著書のタイトルだったのです。トランプ次期大統領が「常識を取り戻す」と訴えた言葉には米国民の心に深く刻まれた歴史的な真実を呼び覚ます力があったのです。

 今回の大統領選挙は米国にとっての根本的価値観をめぐる戦いでした。米国の建国精神が傷つけられ、神への信仰が失われ、真の自由が脅かされるという国難に対して、トランプ次期大統領は生命を懸けて立ち上がり、暗殺未遂という死の恐怖にも打ち勝ち、右手のこぶしを振り上げて「戦え(Fight)!」と叫び、米国民を鼓舞したのです。それは、愛する米国の伝統的価値観を守るために闇の力をも恐れることなく共に戦おうという渾身の訴えであり、まさに「常識を取り戻す」ための戦いを決して諦めてはならないという決意の表れでした。

 つまり、米国を根本的に変質させようと暗躍する闇の勢力に対して、トランプ次期大統領は立ちふさがる壁となり、その一身を捧げて米国の建国精神を守ろうとしたのです。そして、この米国の建国精神こそ、米国民にとっての「常識」でもありました。「常識」を打ち壊し、それに代わる新たな思想で米国民が洗脳されるという悲劇が闇の勢力によって着々と進められていることに、トランプ次期大統領は誰よりも危機感を抱き、それを国家的受難として受け止めていたのです。

 では、米国を新しく造りかえるという新たな旗印を掲げて、米国民を惑わそうと暗躍した人物とは誰なのでしょうか。それが、バラク・オバマ元大統領でした。オバマ元大統領は「Fundamentally Transform America(米国を根本から造りかえる)」というビジョンを掲げて、米国解体のための恐ろしい計画を準備していたのです。オバマ元大統領は自身の8年間の任期を終えた後にもこの解体計画を継承させるべくヒラリー・クリントンを大統領候補とし、さらにはジョー・バイデンをホワイトハウスに送り込み、今回はカマラ・ハリスを傀儡(かいらい)として大統領に就任させようとしたのです(ただカマラ・ハリスについてはオバマの大いなる誤算がありました)。

 「Fundamentally Transform America」とはどのような理念なのでしょうか。それは、米国は決して偉大な国家ではなく、建国の理念や伝統的価値観を国家の礎とすることは時代錯誤であり、むしろ現代の世界的思潮であるリベラル思想に基づく新しい米国に根本から生まれ変わらなければならないというものでした。これは米国の解体であり、ある意味での革命です。そして、この革命を成功させるためには、どうしてもこの革命を阻止している最大の障害物を除去しなければならなかったのです。それが、米国の建国精神であり、神への信仰であり、真の自由を天賦の人権とする憲法理念だったのです。

 そこで、オバマ元大統領は米国の歴史そのものを非難し、米国が偉大な国家であったことは一度もないと喧伝(けんでん)し、世界平和にとって米国という国家自体が脅威であり、米国こそが世界の問題児であるということを米国民に思い知らせ、自虐的な教育と啓蒙をすることで米国民を洗脳しようとしたのです。これがオバマ政権の偽らざる正体です。

 トランプ次期大統領が「America First」を掲げたのは、オバマ元大統領の歴史観が「Blame  America  First(米国を第一に非難する)」というものだったからです。トランプ次期大統領が「Make America Great Again」と唱えたのは、オバマ元大統領が「Fundamentally Transform America」というビジョンを掲げ、「米国は今も、そしてかつても偉大な国家であったことはない」と主張したからでした。

 米国の建国精神を侮蔑し、米国の歴史を非難し、米国を根本的に変質させようとするオバマ元大統領の謀略に立ち向かうために、トランプ次期大統領は米国の建国精神と米国の偉大な歴史を思い起こさせ、米国民に美しい愛国心と神への信仰を基とする常識を取り戻させようとしたのです。トランプ次期大統領は、「常識」を取り戻すことができれば、そして、その「常識」が米国の建国精神であり、かつての偉大な国家の礎であったことを米国民が思い起こすことができれば、米国は必ず「強く、安全で、繁栄した」国になると信じているのです。そして、その時から米国にとっての「新たな黄金時代」が始まることを確信しているのです。米国を再び偉大な国とするまで「私は休まない」という勝利宣言は、トランプ次期大統領の国民一人一人に対する誓いであり、神への誓約でもあったのです。

 彼は出て行って、自分をいやしたのはイエスであったと、ユダヤ人たちに告げた。そのためユダヤ人たちは、安息日にこのようなことをしたと言って、イエスを責めた。そこで、イエスは彼らに答えられた、「わたしの父は今に至るまで働いておられる。わたしも働くのである」。このためにユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうと計るようになった。
(ヨハネによる福音書 5章 15-18節)

 しかし主を待ち望む者は新たなる力を得、
 わしのように翼をはって、のぼることができる。
 走っても疲れることなく、
 歩いても弱ることはない。 (イザヤ書 40章 31節)