2024年11月3日日曜日

第20回:偏向報道に惑わされないために

 現代の言論機関が、今や最大の洗脳報道機関となり、国民を惑わし、国民生活を混乱させ、国家の将来を危うくしているという事実に、私たちはそろそろ目覚めなければならないのではないでしょうか。

 本来的には言論機関は国民の知る権利に応え、国民生活を豊かにし、公益に資する報道をすることで、国家国民を幸福に導くことのできる真理の灯台とならなければなりません。しかし、このような重大なる使命と責任を担っているがために、言論機関がその役割を誤れば、国民生活に最悪の事態を招き、国家の将来をも破滅へと導くことになってしまうのです。

 非常に残念なことですが、現代の日本の言論機関は総じて腐敗堕落していると言わざるを得ないのですが、ここで大切なことは言論機関が腐敗しているという事実を私たち一人一人がはっきりと認識しなければならないということです。この認識を前提にしなければ、私たちは偏向報道による甚大な被害から、自分たちを救うことはできないのです。

 偏向報道に洗脳されないための第一の条件は、今日の言論機関が偏向と偏見に満ちたものであり、国民を幸福に導くのではなく、むしろある特定の方向に誘導しようとしているという現実を知ることです。新聞やテレビ、雑誌などの言論機関が真実を伝えているという思い込みを捨てることです。マスメディアを全面的に信じることほど愚かなことはなく、新聞やテレビの報道を信じることは、ある意味では盲目的な「信仰」とも言えることなのです。

 世界価値観調査によれば、日本人の「新聞・雑誌」への信頼は69.5%(世界4位)、「テレビ」への信頼は64.9%(同8位)で、世界的に見ても日本人のマスメディアに対する信頼度はとても高いのです。また、「新聞」あるいは「テレビ」から毎日情報を得ているとの回答率は、それぞれに57.5%、89.8%で、ともに世界1位です。これほどにマスメディアの情報が国民生活に深く浸透している国は先進国の中では日本だけです。ちなみに、米国の場合、「新聞・雑誌」への信頼は29.7%で、「テレビ」については22.6%です。「新聞・雑誌」への信頼では、ドイツが36.6%、フランスとイタリアは30.2%、英国の場合はたったの13.7%なのです。

 つまり、世界の主要先進国では、マスメディアに対する信頼度は極めて低いのであり、国民の多くが新聞やテレビの報道を信頼していないことが分かります。それは、現代のマスメディアが公平で真実のみを報道するような機関ではないことを見抜いているからです。だからこそ、私たちが偏向報道に惑わされないためには、そもそもマスメディアが偏向報道しかしていないという真実を認める必要があるのです。この真実に目が開かれない限り、私たちはいつまでもマスメディアが流す情報をただ盲目的に信頼することしかできなくなるのです。

 言論機関が偏向・偏見による報道に終始しているという真実に目が開かれる時、私たちは言論機関の言いなりになることはなく、盲目的にそれらの報道を受け入れることもなく、真の自由を得て、この世界がどのように動いているのかを見極めることができるようになるはずです。言論機関による洗脳が解かれ、マスメディアの偏向報道のくびきから解放されることこそ、今の日本人に求められていることなのではないでしょうか。

 「国が滅びるは悪ではなく、国民の愚による」
 これは、「ミスター合理化」と呼ばれ、第二次臨時行政調査会の会長として行政改革の先頭に立ち、辣腕(らつわん)を振るった土光敏夫(1896~1988)の母・土光登美(とみ)の言葉です。国家は悪によってではなく、国民が愚かであることによって滅びるという意味ですが、まさに今日の教訓とすべき言葉ではないでしょうか。

 国民一人一人が現代のマスメディアの偏向報道の呪縛から解放され、盲目的に追従する愚から救われることで、国民一人一人が理性を蘇生させ、賢明な価値判断ができる真の自由人になることが、国家を滅びから守る堅固な砦となるのです。私たち一人一人が愚民ではなく、賢人となることで国民は幸福を享受することができ、愛する祖国を救うことができるのです。

 あなたがたは、むなしいだましごとの哲学で、人のとりこにされないように、気をつけなさい。それはキリストに従わず、世のもろもろの霊力に従う人間の言伝えに基くものにすぎない。 (コロサイ人への手紙 2章 8節)