9月3日に中国共産党政権は北京の天安門広場周辺において、抗日戦勝80年記念の軍事パレードを行い、抗日戦争の勝利を祝賀する式典を挙行しましたが、この式典は歴史の捏造であるばかりか、虚構に満ちた歴史を世界中に広める悪意に満ちた政治的な宣伝であることを、日本政府は厳しく非難すべきでした。
まず歴史の真実を確認しておきますが、中国共産党の軍隊が日本軍と戦い、勝利したという事実など全くありませんし、「抗日戦勝」という言葉自体が真っ赤な嘘なのです。習近平国家主席は演説の中で、共産党が日本の侵略と戦い勝利を収めたとアピールしましたが、これは共産党政権が常套句(じょうとうく)としている虚偽宣伝であり、全く史実ではありません。はっきりとさせておかなければならないのですが、日本軍が支那大陸で主敵として戦闘を交えたのは中華民国(蒋介石政権)の国民党軍であり、中国共産党軍ではありません。
では、中国共産党軍はどうしていたのか、その主力軍は支那大陸の奥地である延安に引きこもり、日本軍との戦闘を避けて逃げ回っていたのです。1937年の支那事変以来1945年までの間に国民党軍は日本軍との戦闘で総計350万人の死傷者を出しましたが、共産党軍はほとんど戦闘に加わらず、国民党軍が疲弊(ひへい)していくのを傍観しながら、まさに漁夫(ぎょふ)の利を得ようと企(たくら)んでいたのです。
中国共産党軍が日本の大陸侵略に抵抗し、日本軍と戦い勝利したというのは、事実無根の嘘であり、中国共産党を美化しようとするための宣伝でしかなかったのです。そもそも中国共産党による中華人民共和国の建国は1949年のことであり、その時には日本軍との戦争はすでに終わっていました。そこで、共産党政権がこの矛盾をもみ消すために必死になって宣伝しているのが、日本軍との唯一の戦闘とも言われている「百団大戦(ひゃくだんたいせん)」なのです。
ところで、「百団大戦」とはどのような戦いなのでしょうか。これは、中国共産党による呼称なのですが、1940年8月から12月にかけて行われた中国共産党軍と大日本帝国陸軍との戦いで、共産党軍の約100個の団(連帯に相当)が参戦したことに由来しています。この戦いにおいて中国共産党の八路軍は小部隊でのゲリラ戦を展開し、日本軍に対して初めての大規模攻勢を行ったとされています。
中国共産党はこの「百団大戦」をことさらに宣伝し、共産党軍(八路軍)が日本軍に対して甚大な被害を与え、抗日戦争において共産党軍がいかに奮戦したかを誇っているのですが、実際のところ日本軍の死傷者はごくわずかであり、八路軍の損害とは比べものにならなかったのです。日本軍の犠牲者は500名程度で、それに対して八路軍の死傷者は2万2000名でした。ところが、中国共産党の発表によれば日本側の犠牲者は4万6000名となっていますが、この数字には全く根拠がありません。しかし、このような根拠なき厚顔(こうがん)な嘘を何のためらいもなく宣伝するのが共産党の本性なのです。
つまり、中国共産党が抗日戦争勝利記念の式典を行うこと自体が、歴史の捏造であり、中国国民に対する洗脳であり、世界に対する虚偽喧伝(けんでん)なのです。共産党政府は「われわれが日本軍を破り、反ファシズムの抗日戦争、そして第二次世界大戦に勝利した」と、嘘八百を言いふらしていますが、このような虚偽に対して日本政府は毅然とした態度を示し、さらに世界に対して正しい歴史を発信しなければならないのです。
では、なぜ日本政府はそのようにしないのでしょうか。いくつかの理由が考えられますが、一つは、今の政治家が大東亜戦争の真実について何も知らないからです。歴史の真実を知らないのですから、まっとうに反論することもできなければ、正当な抗議などできようはずもありません。そして、もう一つは、中国共産党政権に対して異常なまでの配慮と遠慮をしているからです。それは、中国利権の罠にかかった媚中(びちゅう)政治家が跋扈(ばっこ)しているからであり、多くの政治家や財界人が何らかの弱みを握られているからです。ここにも日本国と日本国民の悲運と悲哀があるのです。
ところで、共産党軍はどうして抗日戦争に積極的に参加しようとせず、延安に引きこもっていたのでしょうか。実は、そこには共産党のしたたかな戦略がありました。毛沢東主席は中国共産党の主敵は日本軍ではなく、むしろ国民党軍であることを当初から想定していました。そこで、八路軍に対して損害を最小限にするため、日本軍との戦闘を制限し、国民党軍との戦闘に備えるように指示していたのです。共産党軍は抗日戦争に消極的であっただけでなく、むしろこの戦争を利用して国民党軍を弱体化させ、最終的には支那大陸全土を共産化しようとしていたのです。
中国共産党が抗日戦争を主導し、八路軍が日本軍を打ち破り、反ファシズムの抗日戦争の勝利をもたらしたというような事実など、どこをどのように探しても見当たらないのです。そして、そのことを中国共産党主席であった毛沢東は自ら認めているのです。日本からの訪中団を迎えて、毛沢東主席は次のような発言をしています。
「日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらし、中国人民に権力を奪取(だっしゅ)させてくれました。皆さんの皇軍なしには、我々が権力を奪取することは不可能だったのです。・・・過去のああいうことは、よい事であり、我々の助けになったとも言えるのです。ごらんなさい。中国人民は権力を奪取しました。同時に、皆さんの独占資本と軍国主義は、我々をも助けたのです。」(1964年7月10日)
さらに、中国共産党副主席の鄧小平も、訪中した元陸上自衛隊陸将らとの会見で次のように語っているのです。
「毛主席が常々、『過去のことは水に流そう』と言われた。しかも実際は日本が中国を助けたことになっている。日本が攻め込んできたので蒋介石が後退した。・・・日本が蒋介石を重慶まで押し下げてくれたので、日本軍の占領地域の後方に広がり、八年の間に百二十万人に増え、さらに数百万の民兵までつくった。抗日戦争の後、アメリカは蒋介石軍四百万を装備し、蒋介石はこれでわれわれを攻撃したが、われわれは百二十万をもって三年でこれを打ち破った。それ故、皆さんだけを責めるのは、不公平だと思う。」(1977年9月26日)
これこそが根も葉もある歴史の真実です。習近平主席は「われら中国共産党こそが日本を打ち破った」と宣言しましたが、それは根も葉もない虚偽です。毛沢東主席が大東亜戦争後に、日本は中国人民のために戦ってくれたのであり、日本軍の中国進攻に感謝する、と語っていることを習近平主席が知らないはずがないからです。つまり、中国共産党にとっては日本軍が支那大陸に進出し、蒋介石政権の国民党軍と戦ってくれたことは、まさに好都合だったのです。ところが、今はそのような事実を知られることは余りにも不都合であるため、中国共産党政権はひたすらに真実を隠蔽(いんぺい)することに躍起になっているのです。
そして、さらに悲しむべき、憂えるべき事実があります。それは、このような歴史の真実を世界に向けて発信しているのが、私たちの祖国日本ではなく、米国であるという事実です。歴史の捏造と虚偽の宣伝でしかない「抗日戦勝80年記念」という祝賀パレードについて、なぜ日本政府は中国共産党の歴史歪曲に厳しく抗議し、歴史の真実をもって正々堂々と戦うことをしないのでしょうか。日本国と日本国民の名誉と誇りを断固守るべき日本政府が沈黙し、私たちの唯一の同盟国である米国が日本政府に代わって中国共産党の歴史捏造を非難しているという事実を私たちはどのように受け止めたらよいのでしょうか。
一つだけ確実に言えることは、日本国と日本国民の名誉と誇りをどこの国よりも大切に思い、中国共産党による歴史の捏造と虚偽宣伝に対して真摯に向き合い、戦ってくれているのは、米国トランプ政権であるということです。米国では中国政府による抗日戦争勝利記念の式典は歴史をゆがめ、捏造した虚偽の政治宣伝に過ぎないと、中国共産党による政治プロパガンダを強く非難する声が上がっています。さらにトランプ政権に極めて近いとされるハドソン研究所は「中国の第二次大戦での勝利パレードは究極のフィクション」と題する報告書を公表しているのです。
大東亜戦争の終戦から80年を経て、今こそ日本政府ならびに日本国民は正義の声を上げなければなりません。歴史の真実という不滅の武器をもって歴史戦という戦いの場に馳(は)せ参じ、虚偽と捏造を武器とする中国共産党の思想的侵略行為に対して国運をかけた戦いをしなければならないのです。今こそ、日本国が唯一の同盟国である米国と歩調を合わせ、中国共産党との歴史戦に勝利するために奮然と立ち上がるべき時なのです。
小羊が第二の封印を解いた時、第二の生き物が「きたれ」と言うのを、わたしは聞いた。すると今度は、赤い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、人々が互に殺し合うようになるために、地上から平和を奪い取ることを許され、また、大きなつるぎを与えられた。 (ヨハネによる黙示録 6章 3-4節)