2025年10月5日日曜日

第70回:トランプ大統領が語る「現代の福音」

 トランプ大統領が9月23日に国連総会で一般討論演説を行いました。各国首脳らに割り当てられた時間は約15分でしたが、トランプ大統領はおよそ1時間に及ぶ大演説を行ったのです。この演説を聞きながら、一つの諺(ことわざ)が想起されました。それは、「地獄への道は善意で敷き詰められている」というヨーロッパの諺です。世界は善意で敷き詰められた道を歩みつつ、地獄へと向かっているのでしょうか。実は、このことを誰よりも見抜いているのが、トランプ大統領なのです。

 今回の国連総会一般討論演説の中で、トランプ大統領は世界が地獄に向かっていることの明らかな事象として、二つのことを提示しました。そして、この言葉の中には、地獄に向かいつつある世界を救い出し、暗闇に迷い込んでいる世界を覚醒させようとするトランプ大統領の熱情が込められていたのです。それは、世界を救うために与えられたまさに「現代の福音」でもありました。しかし、世界中のどれほどの人々がトランプ大統領の語りかけに心を開き、「福音」の言葉に耳をそばだてたことでしょうか。

 トランプ大統領が世界に向けて語られた福音の言葉とは、どのようなものだったのでしょうか。まず一つは、不法移民問題についてでした。トランプ大統領は次のように語りかけたのです。

 「国連は解決すべき問題を解決していないだけでなく、むしろ、私たちが解決すべき新たな問題をつくり出しています。もっとも良い例は、現代の最大の政治問題である制御不能な移民の危機です。皆さんの国々は破滅に向かっています。2024年、国連は米国に入国する推定62万4000人の移民を支援するために3億7200万ドルの現金援助を予算計上しました。国連は米国に不法入国する人々を支援し、その後、私たちは彼らを排除しなければならないのです。・・・
 国連は侵略を阻止する役割を担うべきであり、侵略を生み出したり、資金提供したりすべきではありません。米国は外国から大量の人々が地球の裏側まで移動し、私たちの国境を踏みにじり、私たちの主権を侵害し、容赦ない犯罪を引き起こし、私たちの社会保障網を枯渇させることを許すという考えを拒絶します。
 私たちは米国が米国国民のものであることを再確認し、すべての国にも自国民を守るために自らの立場を取ることを奨励します。そうしなければならないのです。皆さんは自国を破壊しています。破壊されているのです。・・・
 国境開放という失敗した実験に終止符を打つべき時が来ました。今すぐ終わらせなければなりません。私はこの仕事が得意です。あなたの国は地獄に向かっています。米国では大胆な措置を講じ、制御不能な移民を迅速に阻止しました。国境を越えたすべての人を拘束し、強制送還し、不法移民を米国から排除し始めると、彼らは来なくなりました。もう来ていません。」

 トランプ大統領は野放図(のほうず)に移民を受け入れたヨーロッパ諸国で何が起きているのかを紹介しつつ、不法外国人の侵略によって深刻な問題が生じていることを指摘しました。そして、移民政策が表向きは善意に基づいているように見えることの弊害を告発しながら、「政治的に正しいこと(ポリコレ:Political Correctness)を選んだために、彼らは全く何もしていません」と語ったのです。つまり、政治的に正しいことをするという「善意」が、その国を危機に追いやり、さらには「善意」としての移民政策を改めることができないことで、自らの首を絞めるという愚かな結末が彼らを待ち受けていたのです。

 トランプ大統領は移民政策が国家にとっては自殺行為であることを喝破(かっぱ)し、対策を講じなければ、その行く先には死と滅びしかないことを警告したのです。そして、世界各国に次のように語りかけました。

 「世界がこれほど美しいのは、それぞれの国が独自の個性を持っているからです。しかし、このような状態を維持するためには、すべての主権国家が自国の国境を管理する権利を持たなければならないのです。皆さんには、今、私がしているように国境を管理し、移民の入国者数を制限する権利があります。誇り高き国家は、コミュニティを守り、異なる習慣や宗教、あらゆるものが異なる、これまで見たこともない人々によって社会が圧倒されることを防ぐ権利を持たなければならないのです。」

 そして、もう一つ、私たちが「善意」という言葉にたぶらかされ、今もなおだまされ続けている世界的な蛮行について告発しました。それは「史上最大の詐欺である」と断罪された気候変動問題についてでした。トランプ大統領は誰にもはばかることなく、次のように語り、気候変動問題に潜む偽善を白日の下にさらしたのです。

 「1982年、国連環境計画の事務局長は、2000年までに気候変動が地球規模の大災害を引き起こすと予測しました。彼は、それは核戦争と同じように、それは不可逆的なものになるだろうと述べました。これは国連で言われたことです。何が起こりましたか。私たちはここにいます。別の国連職員は1898年に10年以内に地球温暖化により国々が地図から消滅する可能性があると述べましたが、そのようなことは起きていません。
 かつては地球寒冷化と言われました。1920年代、30年代を振り返ると、地球寒冷化が世界を滅ぼすだろう。何かをしなければならない、と言われていました。それから彼らは、地球温暖化が世界を滅ぼすと言いました。しかし、その後、気温が下がり始めました。今では、彼らは単に気候変動と呼ぶようになりました。そうすれば、間違えることがないからです。気温が上がろうが、下がろうが、何が起ころうが、それは気候変動と言うことができるからです。
 私の意見では、これは世界に対して行われた史上最大の詐欺です。もう地球温暖化はなく、地球寒冷化もありません。国連をはじめとする多くの機関が行った予測は、多くの場合誤った理由で、すべて間違っていました。これらは愚かな人々によってつくられたもので、自国の財産を奪い、その国に成功の機会を与えませんでした。このグリーン詐欺から脱け出さなければ、あなたの国は滅びます。」

 気候変動問題については、多くの日本人がいまだにその欺瞞(ぎまん)に気づいていません。気候変動や温暖化という言葉がまるで金科玉条のように語られ、まやかしの標語でもある「SDGs」という言葉がもてはやされています。何と愚かで、嘆かわしいことでしょうか。トランプ大統領の気候変動を巡る発言について、米国メディアはどのように報じているのでしょうか。例えば、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、次のように報じて、トランプ大統領の発言を擁護しました。

 「気温上昇を食い止めるために費やされた数兆ドルが政治的な利権を助長する以外に何の効果も上げなかったという意味では、彼の言うことは正しい。」

 地球温暖化や気候変動などを巡って、「善意」を装った詐欺師が世界中に跋扈(ばっこ)し、利権を貪(むさぼ)り、史上最大の詐欺事件を起こしていることを、どれだけの日本人が知っているのでしょうか。トランプ大統領があえて挑戦的な言葉で不都合な真実を暴露したことは、実に世界にとっては救いの言葉であり、現代を生きる私たちにとっては福音の言葉だったのです。WSJは9月24日掲載の社説において、「良くも悪くもある彼の率直さは時に、他の誰も認めようとしない事実を語る」と評価しました。

 今こそ、世界はトランプ大統領が語る一つ一つの言葉に耳を傾けなければなりません。率直にありのままの真実を語るその言葉に心を開かなければならないのです。2018年にトランプ大統領が行った国連演説に対しては、各国の首脳から「嘲笑」が起きました。しかし、今回は笑いが起きることはありませんでした。多くの首脳が今回の演説には耳を傾けていたのです。

 米紙ニューヨーク・タイムズは9月23日の記事で、「議場で公然と笑われた時代は過ぎ去った。彼の演説は丁寧な拍手で迎えられた」と報じました。混迷の時代にあって、人々は少しずつではあっても、トランプ大統領が語る「福音」の言葉の意味とその価値を理解しつつあるのかもしれません。

 しかし、日本においてはこのような報道はいっさいありませんでした。日本のメディアは世界的な詐欺の片棒を担ぎ、リベラル派の知識人はひたすらに不都合な真実を隠蔽(いんぺい)しようとしています。トランプ大統領が真実を語り、「現代の福音」を世界中に宣べ伝えようとしているのに、国民の耳を塞ぎ、その声が届かないように報道しない自由を行使している人々がいるのです。トランプ大統領の国連演説はまさに歴史的な演説でした。日本国の希望の光となるべき演説だったのです。

 今の日本は地獄への道をひたすらに歩んでいるのでしょうか。「地獄への道は善意で敷き詰められている」とはヨーロッパの諺ですが、厳密に言えば、「善意」ではなく、「偽善」なのかもしれません。「地獄への道は偽善で敷き詰められている」。日本国が地獄への道を歩み続けているのであれば、私たちは私たちの祖国である日本を今こそ救わなければならないのです。その救いの道をトランプ大統領は教えてくれたのであり、それが国連総会での演説だったのです。

 狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者が少ない。
(マタイによる福音書 7章 13-14節)