9月27日、トランプ前大統領は、訪米中のゼレンスキー・ウクライナ大統領とニューヨークで会談し、ロシアとウクライナの戦争を終結させるための方策について話し合いました。この会談内容についてはほとんど日本のマスコミが伝えていませんが、一連の流れの中で、ハリス副大統領の無能さと無責任が露見され、その一方でトランプ前大統領の卓越した指導力、殊に戦争終結に向けての明確な戦略と熱意が明らかになりました。
まず、ゼレンスキー大統領は今回の訪米において「戦勝計画」なるものを準備していました。そこには次のような二つの提案がありました。一つは、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)への即時加盟であり、もう一つは欧米から供与されている長距離ミサイルによるロシア国内への攻撃許可でした。
しかし、バイデン大統領はこの「戦勝計画」を受け入れませんでした。それは当然のことで、もしもこの「戦勝計画」を受け入れるなら、つまり、ウクライナがNATOに加盟し、長距離ミサイルでモスクワを攻撃するような事態になれば、それが第三次世界大戦の口火となることは明白であったからです。これは私の憶測に過ぎないかもしれませんが、ゼレンスキー大統領は自らの「戦勝計画」が承諾されるとは思っていなかったのではないでしょうか。バイデン政権が「戦勝計画」を否むことは織り込み済みだったのです。
では、なぜ、ゼレンスキー大統領は拒絶されるであろう「戦勝計画」なるものをわざわざ提示したのでしょうか。それは、ロシアとの戦争において勝利するためには、この計画しかないことを米国に示すためですが、この計画は受け入れられないことが分かっているのですから、ゼレンスキー大統領の本音は別のところにあったということになります。
結論から言えば、ゼレンスキー大統領はロシアとの戦争に勝利することができないことを本心では分かっているのです。にもかかわらず、米国がこの戦争でのウクライナの勝利を望むならば、それは必然的に第三次世界大戦になるでしょう。なぜなら、NATOへの加盟と長距離ミサイルによる攻撃なくして勝利の道はないからであり、その道を歩むことは、ロシアによる核攻撃を招くことになるからです。
では、ゼレンスキー大統領の本音は何だったのでしょうか。それは、戦争に勝利することではなく、戦争を終わらせたいということだったのです。そして、その戦略があるかどうかをバイデン政権に問いかけたのであり、次期大統領候補であるハリス副大統領に尋ねたのです。
バイデン大統領は「戦勝計画」を承認しませんでしたが、かといって戦争を終結させるプランは持ち合わせていませんでした。ただ、今まで通りウクライナ支援を続けると表明しただけです。これでは、何も変わりません。戦争がこのまま継続されるだけです。
では、ハリス副大統領はどうでしょうか。ハリス副大統領はゼレンスキー大統領との会見において、次のように語り、まずトランプ前大統領を非難しました。
「私の国にはウクライナの領土の大部分を放棄させ、ウクライナに中立を受け入れさせ、ウクライナに他国との安全保障関係を放棄させようとする者がいる」。
この発言はどういう意味かというと、まずロシアに奪われた領土は放棄しなければならず、戦争が終結した後もウクライナはNATOには加盟できない。その結果としてウクライナの安全保障は常にロシアの脅威にさらされ、ウクライナの苦しみが継続するということです。しかし、トランプ前大統領はこんなことは考えてもいません。ここにハリス副大統領の無責任さがあります。
ハリス副大統領には何らかの戦略があるのでしょうか。ハリス副大統領のウクライナ政策とはどのようなものかといえば、まずプーチン大統領との交渉はできないし、現段階でのウクライナのNATO加盟も難しいので、とにかく武器と資金の援助を続けるというものです。これは、ウクライナはロシアとの戦争に勝利することはできず、ただ戦争を継続するしかないというものです。何と無責任で無慈悲な政策ではありませんか。日を重ねるごとに無辜(むこ)の国民の命が奪われ、多くの若者が前線で戦死しているのに、勝算も出口も見えない戦争をただ続けろというのが、ハリス副大統領の思いなのです。何と薄情で無能な人間なのでしょう。これが民主党の次期大統領候補者なのです。
バイデン大統領にも、ハリス副大統領にも、戦争を終わらせる戦略がないことを知ったゼレンスキー大統領は、おそらく失望したのだと思います。だからこそ、ゼレンスキー大統領は、本来予定にはなかったトランプ前大統領との会見を急遽、望んだのです。そして、9月27日に両者の会談が実現しました。
この会見でトランプ前大統領は何を語ったのでしょうか。トランプ前大統領はロシア・ウクライナ戦争の今後の展望について次のように話しました。
「この戦争は終わらせなければならない。ゼレンスキー大統領は地獄のような思いをしているし、彼の国も地獄のような体験をしている。この戦争は自分が交渉して終わらせる。プーチン大統領もゼレンスキー大統領も戦争が終わることを望んでいるし、二人とも公平な取引がまとまることを願っている。これは良い組み合わせだ」。
トランプ前大統領のこの発言に対して、ゼレンスキー大統領は「米国はあらゆる交渉のリーダーとなることができる」と語り、会談後には「とても意義深い会談だった」と述べています。ここにゼレンスキー大統領の本音が見えます。それは、一日も早く交渉によって戦争を終わらせたいという思いであり、しかも公平な取引によって戦争を終結したいという思いなのです。この思いに応えてくれたのは、バイデン大統領でも、ハリス副大統領でもありませんでした。トランプ前大統領だけが、ゼレンスキー大統領の地獄のような苦しみを理解し、ウクライナ国民が地獄のような日々を送っていることを知っていてくれたのです。
トランプ前大統領はロシア・ウクライナ戦争については首尾一貫して、いつもこのように述べています。
「もし自分が大統領に選ばれなければ、この戦争は永遠に終らない。そして、いずれは第三次世界大戦に移行するだろう」。
「私は戦争を止めたいんだ。無駄に失われている命を救いたい。そして、米国にとっても最善の国益は、この戦争を終わらせ、完了させることだと思う」。
地獄のような苦しみと悲惨を味わっているウクライナ国民の友となってくれたのは、トランプ前大統領でした。今のままウクライナに武器と資金を援助することは、良き友人としての振舞いのように見えますが、実は終わりなき戦争を続けさせ、地獄の苦しみからウクライナを救うのではなく、ただ苦しみに耐えるように声援を送っている傍観者の態度でしかないのです。
傷ついた人々の痛みを知り、苦しみ嘆く人々を救いたいと思っているのは、バイデン大統領でも、ハリス副大統領でもなく、また、民主党の議員でもなく、さらには民主党支持者でもありません。ハリス副大統領を支持する人々はウクライナ国民の真の友ではないし、彼らの良き隣り人でもありません。
ハリス副大統領への支持表明をした米歌手のテイラー・スウィフトは、「彼女は安定した手腕と才能に恵まれたリーダーだと思うし、この国が混乱ではなく、冷静さによって導かれれば、もっと多くのことを達成できると信じています」とインスタグラムに綴っているのですが、ハリス副大統領のどこに安定した手腕があり、どんな才能に恵まれているというのでしょうか。ハリス副大統領を大統領にしたいと思う人たちが、平和を望んでいるとは思えませんし、真剣に戦争を終わらせたいと願っているとは到底思えないのです。
ロシア・ウクライナ戦争を一日も早く終結させ、これ以上戦争の惨禍(さんか)が繰り返されることを止めたいと思っているのはトランプ前大統領なのです。ゼレンスキー大統領の良き友となり、ウクライナ国民の良き隣り人となってくれたのは、トランプ前大統領だったのです。
イエスが答えて言われた、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃 げ去った。するとたまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ると、向こう側を通って行った。同様に、レビ人もこの場所にさしかかってきたが、彼を見ると向こう側を通って行った。ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、近寄ってきてその傷にオリブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。翌日、デナリ二つを取り出して宿屋の主人に手渡し、『この人を見てやってください。費用がよけいにかかったら、帰りがけに、わたしが支払います』と言った。この三人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」。彼が言った、「その人に慈悲深い行いをした人です」。そこでイエスは言われた、「あなたも行って同じようにしなさい」。 (ルカによる福音書 10章 30-37節)