そもそも「靖国神社参拝問題」とはどのようなものなのでしょうか。これは、日本の首相をはじめ、現役閣僚(特に、外務大臣・防衛大臣)や自民党の幹部(幹事長)が靖国神社に参拝することを問題視するというものです。そして、この靖国神社参拝を問題視しているのは、他でもない中国と韓国の二国しかないということです。さらに言えば、靖国神社参拝に対して大上段に非難し、傲慢無礼な内政干渉をしているのは、中国(中国共産党)だけなのです。韓国は中国に唆(そそのか)されて、追従しているにすぎません。
そこで、靖国神社参拝に関する簡単な経緯を振り返ってみます。まず、確認しておかなければならない事実があります。それは、1980年から1985年まではほぼ毎年、終戦記念日には首相が靖国神社に参拝していたということです。その他にも春季・秋季例大祭における参拝など、戦後に限定すれば、1985年までに12人の首相により計60回の参拝が行われているのです。しかし、この間、一度たりとも中国や韓国が騒ぎ立てることはありませんでした。
では、一体いつから首相の靖国神社参拝が問題視されるようになったのでしょうか。それは、1985年の中曽根康弘首相(当時)の参拝からなのです。この年の8月15日、中曽根首相は現職の総理として初めて靖国神社を「公式参拝」しました。実は、それまでの首相の靖国参拝は「公式参拝」ではなく、公的か私的かを明確にしない参拝であり、あるいは私的参拝であることを殊更に主張するものでした。
そこで、「公式参拝」であるということが問題になるのですが、それは中国によって問題視されたのではありません。この問題に火をつけたのは、朝日新聞だったのです。朝日新聞は「1978年に合祀されたA級戦犯」のことを取り上げて、靖国神社に参拝することは、大東亜戦争を正当化し、美化することになるとはやし立てたのです。さらに、大東亜戦争で戦争責任を負わされ、戦犯とされた軍人たちを祀る神社に首相が参拝することは、軍国主義の復活であると喧伝(けんでん)したのです。
この朝日新聞の報道に飛びついたのが中国共産党でした。この報道を契機として、それまでは何ひとつ靖国神社参拝について発言することもなかった中国共産党が、初めて公式に靖国神社参拝を非難する声明を発表したのです。殊に、中国共産党が問題にしたのは、靖国神社にA級戦犯が祀られているということでした。
A級戦犯とは、戦勝国である連合国が敗戦国である日本に対してその戦争犯罪を裁いた「極東国際軍事裁判」において、「平和に対する罪」で起訴された人たちのことで、主に戦争の計画や開始に関わった人たちでした。靖国神社は1978年に、A級戦犯とされ処刑された東條英機元首相ら14人を国家の犠牲者「昭和殉難者」として合祀していたのです。
ところで、奇妙なことがあります。表向きは、A級戦犯が合祀されている靖国神社に首相が参拝するのは許せない、と騒いでいるのですが、A級戦犯が合祀された1978年10年17日以降も首相による靖国神社参拝は続けられていました。例えば、合祀の翌日、10月18日には福田赳夫首相が参拝していますし、キリスト教徒であった大平正芳首相も3回(1979年4月21日、同10月18日、1980年4月21日)、さらに鈴木善幸首相はその在任中に9回も参拝しているのです。それでも、中国共産党は首相の靖国神社参拝については何も問題にしていません。
中国共産党が首相の靖国神社参拝を厳しく非難するようになったきっかけは、朝日新聞の報道なのです。言い換えれば、靖国神社参拝問題を引き起こしたのは、中国共産党ではなく、日本国内の「反日」勢力、つまり、朝日新聞だったのです。ところが、中国からの反発を受けて、中曽根首相は翌1986年から参拝すること自体を取りやめてしまったのです。
皮肉にも、中曽根首相が参拝を中止したからと言って、中国の露骨な内政干渉が終わることはありませんでした。中国共産党はその後も靖国神社参拝問題を外交的・政治的な駆け引きに利用し、日本に対する内政干渉を何のためらいもなく続けるようになったのです。ここには私たち日本人が忘れてはならない大切な教訓があります。それは、中国共産党が日本に対して内政干渉をするのは、日中関係を改善するためではない、ということです。たとえ、日中関係が良好であり、蜜月状態にあったとしても、中国共産党は日本の内政に干渉し、あれこれと指図することを決して止めないでしょう。それが共産主義思想というものであり、共産党の外交戦略だからです。
このような中国共産党の体質を利用し、日本の国家的威信を貶(おとし)め、自虐的な歴史観で日本人の心を洗脳しようとしたのが、朝日新聞という「反日」新聞なのです。朝日新聞による売国的な告発以来、中国だけでなく、事大主義(自主性を欠き、勢力の強大な者につき従い、自己の安全を図ろうとする態度)に侵されている韓国までもが靖国神社参拝を問題視するようになり、それ以後厳しく反応するようになったのです。
在職中の首相による靖国神社の参拝は、2013年12月26日の安倍晋三首相(当時)の参拝を最後に途絶えてしまいました。1984年以前には、首相が終戦記念日に参拝しても何も言わなかったのに、朝日新聞の報道をきっかけとして、今や、首相が参拝せず、玉串料を納めるだけでも非難されるようになってしまったのです。もちろん、このような日本政府の失態の責任は、当時の首相にこそ問われるべきなのですが、靖国神社参拝問題の根源的な責任は、「反日」的な思想にあるのであり、「反日」的な活動を行って恥じることのない「反日」日本人にこそあるのではないでしょうか。
日本に対して反感を抱き、その理由はどうであれ、日本に対する憎悪をあおるような歴史教育をし、自国民に日本人への怨恨を植え付けようとする国が世界にはあります。それが中国であり、韓国であり、北朝鮮です。しかし、何よりも危惧すべきことは、それ以上に日本を憎悪し、日本人を恨み、日本の歴史を貶めようとする国があるということです。それが、日本なのです。より正確に言えば、「反日」日本人です。
「反日」日本人こそが、日本に対する憎悪と反感の震源地となり、周辺諸国をも巻き込んで反日世論を形成しているという事実を忘れてはならないと思います。この「反日」日本人の代表格が朝日新聞などの左翼言論機関であり、それらを応援している左翼知識人・学者・文化人なのです。左翼言論機関とその支持者との戦いこそが、日本が愛国精神を取り戻すための「聖戦」なのではないでしょうか。
偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは、天国を閉ざして人々をはいらせない。自分もはいらないし、はいろうとする人をはいらせもしない。
偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは白く塗った墓に似ている。外側は美しく見えるが、内側は死人の骨や、あらゆる不潔なものでいっぱいである。このようにあなたがたも、外側は人に正しく見えるが、内側は偽善と不法とでいっぱいである。 (マタイによる福音書 23章 13、27-28節)