2024年10月3日木曜日

第12回:「Make America Great Again」の真意(2)

 「米国を再び偉大にする」というスローガンの真意についてですが、ここで語られている「偉大さ」とはどのようなものなのでしょうか。それは、米国の建国精神と深く関係しており、さらには米国の建国精神を支えているのは「神と自由」であることを私たちは理解しなければなりません。

 そこで、まずは米国の建国精神についてお話しようと思います。米国は神の摂理によって建国された国であるということがすべての基となっています。では、神の摂理とは何でしょうか。それは最終的には全世界を救済することであり、永遠の世界平和をこの地上に実現することでした。つまり、この地上に神の国を建設することが、神の摂理の中心であり、神の理想そのものであったのです。

 このような神の摂理を成し遂げるためには、神の摂理を担い、神の理想を実現するために神と共に生きる一つの国が必要でした。そして、そのような国として建国され、特別に祝福された国が米国だったのであり、米国はその建国の始まりから神と共にあり、神に守り導かれた国だったのです。

 神の米国に対する願いは、米国が真のキリスト教国家として、神の理想を実現するために地球上のいかなる国よりも世界のために奉仕する国となり、さらには世界のどの国よりも神の理想に生きる国として模範となることでした。それは米国が「丘の上の輝く町」となることだったのです。

 1989年1月、ロナルド・レーガン大統領はその退任演説において、米国を「丘の上の輝く町」にたとえ、米国は自由を求める世界の人々に希望をもたらす偉大な国家であることを誇らしげに語りました。それは、神の理想が米国を通して世界に行き渡り、神の摂理が米国によって成し遂げられることを、米国に与えられた天命として宣布するものでした。ここに米国の建国精神があるのです。

 トランプ前大統領は、米国が神から特別な使命を与えられた国家であり、自分たちは神の理想を実現するために召されている特別な国民であることを、神への信仰において確信しているのです。米国は神の理想を掲げて世界をリードしなければならないのであり、神の願いである世界平和の実現に向けて与えられた使命を果たさなければならないのです。

 そして、このような神から与えられた使命を果たすためには、米国は建国精神の礎となっている神への信仰を絶対的に堅持しなければならないのです。これが、トランプ前大統領が神への信仰を何よりも尊重することの理由です。

 トランプ大統領はその在任中、演説の中で躊躇なく「神」という言葉を繰り返していました。これに対して、極力「神」という言葉を嫌ったのがオバマ大統領でした。2016年11月、米国人にとって最も大切な祝祭である「感謝祭(サンクスギビング)」において、オバマ大統領は一度も「神」について言及しませんでした。それだけではありません。オバマ大統領は「メリークリスマス」を「ハッピーホリデー」に、「クリスマスツリー」を「ホリデーツリー」に言い換えることまでしました。毎年作成される公式のクリスマスカードから「クリスマス」という文字を取り除き、ホワイトハウスに飾られるキリスト聖誕の場面を再現した模型をも撤去しようとしたのです。

 米国社会から「神」という言葉が消し去られ、非キリスト教徒への配慮という名目でキリスト教の伝統が排除され、米国社会の礎である神への信仰が根底から揺さぶられてきたのです。そこへ、まるで救世主のようにして現れたのがトランプ大統領でした。トランプ大統領は「米国を再び偉大にする」というスローガンを掲げて、「神の下の一つの国家」を取り戻そうとしたのです。2017年11月のホワイトハウス前のクリスマスツリーの点灯式で、トランプ大統領は「米国大統領として米国と世界にメリークリスマスと言えるのはとてつもない栄誉だ」と語り、さらに「クリスマスはただのホリデーではなく、救い主イエス・キリストの聖誕を祝う聖なる季節だ」と述べたのです。

 ところが、オバマ元大統領のDNAを受け継いだバイデン大統領の登場によって、再び米国は「神」を失い、「真の自由」を失うかもしれないという崖っぷちに立たされるようになりました。そこで、トランプ前大統領は以前にもまして米国の危機を声高に訴え、神の摂理によって建国された美しい祖国が地獄で苦しんでいることを知り、米国に「神」を取り戻し、「真の自由」を取り戻すための命がけの戦いをしているのです。この戦いに勝利することが、米国を再び偉大にすることのできる唯一の道であることを誰よりも知っているからなのです。

 トランプ前大統領が米国の建国精神として何よりも貴ぶものがあるとすれば、それは次のような二つの内容です。それは、トランプ大統領が全米祈祷朝食会において語られたものです。一つは、米国が信仰の国であり、神への信仰を持ち続ける限り繁栄する、ということ。そして、もう一つは、我々の権利は創造主である神から来たものであり、人間によって与えられたものではない、ということです。

 神への信仰と神によって与えられた人権、これこそが米国の建国精神であり、建国の理念なのです。そして、このような信仰に支えられた米国こそが、まさに偉大な国であったのです。トランプ前大統領は米国を再び偉大にするために、神と自由を取り戻すための戦いをしているのです。(つづく)

 わが救とわが誉(ほまれ)とは神にある。
 神はわが力の岩、わが避け所である。
 民よ、いかなる時にも神に信頼せよ。
 そのみ前にあなたがたの心を注ぎ出せ。
 神はわれらの避け所である。 (詩篇 62篇 7-8節)