米国のトランプ大統領は3月4日(日本時間5日)、上下両院合同会議での施政方針演説で、「わが国はもはやWokeではない」と宣言しました。「Woke」とは、「wake」(目を覚ます)の過去形で、「目覚めた、悟った」を意味する言葉ですが、トランプ大統領はこれを肯定的な意味で使っているのではありません。元来、「Woke」という言葉は、人種差別や性差別などの社会的不平等に気づくこと、目覚めることを意味したのですが、その考え方が余りにも極端であり、過激であるため、むしろこの言葉は嘲笑的なものとして、あるいは皮肉を込めた意味として使われるようになりました。日本では「意識高い系」とも意訳されていますが、これは本当に意識が高いという意味ではなく、むしろ軽蔑(けいべつ)的な意味を含んでおり、「お目覚め」と揶揄(やゆ)されて用いられることもあります。
ところで、「わが国はもはやWokeではない」との宣言は、米国がDEI(多様性・公平性・包括性)推進策を廃止するということを意味しています。DEIとは、すべての人に公正な機会を与え、一人一人が不当に偏った立場に置かれることなく、多様な背景を受容できる社会の実現を目ざすものです。そして、このような価値観に共鳴する人が「Woke」、つまり、目覚めた人、悟った人であり、意識の高い進歩的な人々であるというのですが、果たしてそうなのでしょうか。